健康
2023年2月9日 更新
Q.ヒートショックを起こさないために注意することはありますか?
ヒートショックは特に冬場の夜、特にご高齢の方が浴室で起こしやすい事故です。
毎年、ヒートショックが原因で14000人~15000人の方が亡くなっているといわれています。特に冬場の夜、ご高齢の方が浴室で起こしやすい事故です。
ヒートショックを知り、ヒートショックを起こさないように注意しましょう。
ヒートショックとは
「ヒートショック」とは、急激な温度変化による血圧の変動によって発生する健康被害を指し、心筋梗塞や脳梗塞がこれにあたります。
特に冬場の入浴時に多く発生しますが、その理由は「寒い脱衣所」と「あたたかい浴室・浴槽」の温度差にあります。寒い脱衣所で服を脱ぐと身体が急に冷えて、血圧が急上昇。その後あたたかいお湯につかると血管が膨張し、今度は血圧が急降下してしまい、ヒートショックが起こります。
健康な若い方なら、血圧の急上昇や急下降にも耐えられるかもしれませんが、高血圧や糖尿病など動脈硬化が進行したご高齢の方では、血圧の上昇による心筋梗塞、致命的な不整脈、脳梗塞や脳出血などを引き起こしやすくなります。また反対に、血圧が低下することでめまいやふらつきが起き、意識を失って転倒や溺死という結果を引き起こすこともあり、特に注意が必要です。
ヒートショックが起こりやすい場所
ヒートショックの症状は、冬場の冷え込んだ洗面所・浴室・トイレなどの極端な温度差がある場所で起こります。浴室でのヒートショックは聞いたことがある方も多いかもしれませんが、トイレでも排便でいきむと血圧があがり、排便後急激に血圧が低下するため、ヒートショックが起こりやすくなっています。
ヒートショックになりやすい人の特徴
以下の特徴に当てはまる人ほど、ヒートショックには十分注意しましょう。
● 65歳以上(特に75歳以上は注意)
● 以下の病歴がある
・狭心症、心筋梗塞、脳出血、脳梗塞
● 以下の持病がある
・不整脈、高血圧、糖尿病
● 以下の習慣がある
・飲酒直後に入浴する
・食後すぐに入浴する
・薬を飲んだ直後に入浴する
・一番風呂
・深夜に入浴
・熱いお湯(42℃以上)に、首まで長く浸かる
● 以下のような居住空間である
・浴室、脱衣室、トイレに暖房器具がなく、冬場は寒い
・浴室がタイル張りで窓があり、冬場は寒い
・居間と浴室、トイレが離れている
ヒートショックを起こさないためには
入浴での注意
■ 浴槽の湯温を低めに設定する
浴槽の湯温が高いと心臓に負担がかかります。寒い冬はすぐに熱いお湯に浸かりたいところですが、まずは38℃~40℃程度のぬるめのお湯に浸かり、熱いお湯を足して徐々に温めるようにしましょう。
■ 「二番湯」に入る
高齢者や血圧の高い方は、浴室が冷え切ったままの一番風呂に入浴することは避け、家族が入浴して浴室が温まった後の「二番湯」に入るようにしましょう。
■ ゆっくり温まる
入浴時にはいきなり浴槽に入らず、心臓に遠い手や足からかけ湯をするなど、お湯の温度に身体を十分に慣らしてから浴槽に入るようにすることで、急激な血圧の変化を防げます。
■ お酒を飲むなら入浴後に
飲酒すると血管が拡張して血圧低下を起こしたり、身体の反応も低下して転倒しやすくなります。事故の危険性が高まるので、飲酒後の入浴は避けましょう。
人の体温が一番安定する時間帯は16時~19時といわれており、この時間帯に入浴が推奨されています。ご高齢でお酒が飲みたい方は、夕方入浴してそのあと晩酌してはいかがでしょうか。
■ 浴室・脱衣所などへの暖房機器の導入
最近では、天井から温風を吹き出し脱衣所と浴室を同時に暖める「温風暖房」や、湿気も取り除く「浴室暖房乾燥機」や「脱衣室用壁掛けヒーター」など、いろいろな暖房設備が開発されています。
また、ご高齢になると夜間にトイレに行く回数も増えるので、トイレ暖房にも配慮することが大切です。
トイレでの注意
■ 寝室はトイレの近くにする
高齢者は夜間頻繁にトイレに行くことがあります。寒い廊下を経てトイレに行くだけでも、心臓に負担がかかります。可能であれば、寝室はトイレに近い部屋に設置しましょう。
■ トイレに暖房器具を置く
浴室や脱衣室と同様、トイレも小さな個室であり、寒い空間であるのが通常です。現在は、人感センサー付き電気温風器や、ヒーター一体型の天井照明など、場所を取らない暖房器具も販売されています。それらを活用して、トイレに暖房器具を設置しましょう。
■ いきみすぎない
排便の際にいきみすぎると心臓への負担が高くなります。また、排便後は急激に血圧が下がり、血圧が激しく変動します。普段からの便秘対策も重要です。何よりも、ご高齢者ご本人とその家族がトイレや入浴時にヒートショックが起こりやすいことを認識しておくことが大切です。