衛生
2024年3月14日 公開
Q.壁紙のカビを落とす方法を教えてください。
カビで健康を害する前に、正しくキレイに取り除きましょう。
梅雨時の湿気や冬場の結露の影響で、気が付くと壁紙にカビが発生していたという方も多いのではないでしょうか。壁紙はカビが発生することで見た目が悪くなるだけでなく、そこに住む家族の健康に影響する恐れもあります。
そこで今回は、カビの種類と特徴から、カビの落とし方やカビの予防法までご紹介します。カビの発生が気になるという方はぜひご覧ください。
目次
壁紙に発生するカビとは?カビの種類と特徴
カビは微生物の一種で、キノコや酵母と同じ真菌グループです。およそ30,000種類あるといわれており、チーズやワインなどの発酵食品や医薬品を作るうえで人の暮らしに欠かせないものです。
しかし、家の中で発生するカビには有毒なものもあり、注意が必要です。カビの一例として、私たちの生活に身近な黒カビ・青カビ・緑カビをご紹介します。
黒カビ
カビの中でもポピュラーな種類のカビです。初期では薬剤に弱いですが、繁殖しだすと薬剤に強い抵抗性を持ち、むやみな薬剤使用が逆効果になるケースがあります。壁紙や壁に発生する多くは黒カビといわれています。
青カビ
チーズの発酵や医薬品などに使われているカビです。空気中に多く浮いているため、パンやお菓子に付くと青カビとして発生します。毒性はないとされていますが、見えないだけで有毒なカビもいっしょに発生している可能性があるため注意が必要です。
緑カビ
木材や畳の裏などに発生しやすいカビです。一般的にツチアオカビとも呼ばれ、湿気の多い場所でよく見られます。木材に付くと劣化や腐敗につながります。また、吸い込むことで体調を崩す恐れがあるので注意しましょう。
壁紙のカビによる被害
カビが原因で起きるアレルギー反応はどんなものがあるのかを解説します。
ダニが発生する
結露によって黒カビが増えると、黒カビをエサとしたダニも発生しやすくなります。
また、結露の原因である高い湿度は、ダニの繁殖条件としても適しているのです。チリダニによって引き起こされる気管支ぜんそくや、ツメダニに刺されることで赤くはれるといった健康被害があります。
アレルギー性鼻炎になる
壁紙をはじめ、家にカビが発生すると、鼻水や鼻づまり、くしゃみといった症状が現れます。また、ススカビというカビの一種の胞子を吸い込むと、気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎などの原因になります。
シックハウス症候群を引き起こす
シックハウス症候群とは、家自体が原因となる健康被害のことです。建材などの化学物質やハウスダストによって室内の空気が汚染されます。ハウスダストの中には、カビやダニなども含まれており、鼻水や吐き気、のどの渇き、頭痛といった症状が現れます。
壁紙のカビによる健康被害は大きく、特に抵抗力の弱い小さい子どもや高齢者、舐めたり誤飲してしまう恐れのあるペットがいる家は注意が必要です。
壁紙に生えたカビの落とし方を素材別に解説
まず試したい、安全で効果的なカビの落とし方
▶用意するもの
・お酢・水・重曹・消毒用エタノール・スプレーボトル
▶下準備
①あらかじめ壁のホコリを雑巾やハンディモップなどで取り除いておく。
②お酢を適量、スプレーボトルに入れ、お酢の2倍程度の水で薄める。
③カビを除去したい部分にスプレーする。
▶下準備が終わったら
①スプレーボトルに重曹を小さじ1と水100mlを混ぜ合わせる。
②カビの部分にスプレーする。
③約5分放置する。
④雑巾を使って拭き取る。(この時、歯ブラシややわらかいブラシを使って壁をしっかり擦るのも効果的です。)
⑤最後に消毒用エタノールを壁に吹きかけて十分に殺菌し、掃除した部屋は十分換気して全体をよく乾かします。
水を吸わない壁紙のカビの落とし方
水を吸わない壁紙には、タイルやビニール製の壁紙などがあります。水回りによく使われる壁紙で、水分をはじくため漂白剤を用いたカビの除去が可能です。流れて落ちて床などにつかないように、ジェルのような粘度のある漂白剤が良いでしょう。
▶用意するもの
・塩素系漂白剤・雑巾・歯ブラシ・モップ
▶カビの落とし方
①ホコリをモップで拭き取る。
②水で固く絞った雑巾で水拭きし、汚れを拭く。
③カビがある部分に塩素系漂白剤を歯ブラシで擦るように塗り込む。
④漂白剤を水拭きして、水分をしっかり取り除くよう乾拭きする。
水を吸う壁紙のカビの落とし方
水を吸う性質のある壁紙の場合、塩素系漂白剤を使用できません。市販されている専用のカビ除去スプレーがおすすめです。
▶用意するもの
・市販のカビ除去スプレー・雑巾
▶カビの落とし方
①10cmほど離れたとことからスプレーをして、そのまま20~30分ほど放置する。
②水で固く絞った雑巾で水拭きする。
漆喰や土壁のカビの落とし方
漆喰には吸湿性があるため、多湿を好むカビの発生を抑制できるメリットがありますが、室内の湿度が高すぎたり換気が不十分だったりすると、漆喰にもカビが発生します。漆喰や土壁などには専用のカビ除去製品がおすすめです。
▶用意するもの
・漆喰・土壁用のカビ除去製品・モップ・雑巾
▶カビの落とし方
①モップで表面のホコリを拭き取る。
②固く絞った雑巾でやさしく擦る。
③漆喰・土壁用のカビ除去製品を塗布する。
④よく換気し、完全に乾かす。
木製の壁のカビの落とし方
木製といっても、オーク材やチェリー材、パイン材などさまざまな種類があります。木製の壁で漂白剤を使ってもカビを取り切れない場合、紙やすりを使用すると良いでしょう。
ただし木材の種類によっては紙やすりを使用しない方が良いものもあるため、まずは木材の種類を特定しましょう。木目が目立たない種類の木材は、漂白剤や紙やすりの使用で見た目が変わる可能性があるため、注意が必要です。
▶用意するもの
・塩素系漂白剤(液体)・消毒用エタノール・紙やすり・キレイな布・キッチンペーパー
▶カビの落とし方
①消毒用エタノールでカビのある部分と周辺にスプレーする。
②乾燥したあとキレイな雑巾で乾拭きする。
③上記でもカビの色素が落としきれない場合は紙やすりで削り落とす。ただし、カビを飛散させてしまうため、消毒用エタノールで殺菌した部分のみ削り落とすようにする。
壁紙にカビを生やさないための予防法
家具と壁の間を広く取っておく
カビは部屋の中の湿度に気を配るだけで、簡単に予防が可能です。部屋の中の隙間に湿気はたまりやすく、カビが生えやすいといわれています。
テレビや大きなタンス、引き出しなどの家具と壁の間に距離を保つことで、ホコリや汚れもたまりにくくまります。ホコリもカビの原因となりますのでこまめに掃除しましょう。引き出しやタンスなどは5cm~10cm程度、冷蔵庫などの家電は10cm~15cmほど壁から離しておきましょう。
除湿機で湿気を軽減
そして、こまめに部屋の換気を心がけることが重要です。晴れた日には空気の入れ替えをしましょう。サーキュレーターや扇風機を使って換気するのも効果的です。雨の日は外の湿度が高く、換気をすることでかえって部屋の湿度が上がる可能性もあるため、控えた方が良いでしょう。
また、除湿機を活用するのもおすすめです。梅雨の時期に除湿機があれば湿気を軽減できます。室内干しをしなければいけない日も除湿機を活用すれば、湿度を抑えてカビを予防できます。
結露対策を行う
結露しやすい窓は、結露対策をしましょう。窓から床や壁に水分が伝わってしまいます。窓に新聞紙を張り付けるのが簡単ですが、色々なタイプの結露防止シートも売られていますので、状況に合わせて取り入れてみましょう。